職員室

リレートーク

にちがくの教職員によるリレートーク
~学校生活、そして日常を語り繋ぎます~

2017-09-20

「対立や衝突だって、共存の契機」鈴木匠先生(高3学年主任・英語科)

野球にコリジョンルールというものがあります。ホームベースでの捕手と走者の衝突を避けるために作られたルールです。コリジョン(collision)の動詞形であるcollide「衝突する」は、co-「共に」とlid「ぶつかる」を語源とする語です。co-は、colleague,co-worker(ともに「同僚」の意味)、company, collaboration, cooperation「協力」,coexistence「共存」といった、どちらかというと肯定的なニュアンスの語に多く見られる接頭辞ですね。「衝突する」のも「共存する」のも、お互いが存在してはじめて成り立つ行為ということですが、今の世界を見ていると、対立や衝突の方が前景化していることは否定できません。

最近の英語の授業で、「利己的な遺伝子」という著書で有名なリチャード・ドーキンズの英文を扱いました。科学者ドーキンズの論旨は明快で、超自然的なものの見方を斥け、徹頭徹尾、科学的な見方や方法を貫きなさいというものです。科学の対極には、神話や魔術があります。合理的な説明に行き詰っても、安易に妥協して、そうした超自然的な見方に逃げ込んではならない。それはすべてを断念することに等しい。そうドーキンズは呼びかけます。

ただ、合理的な科学的思考のみを全面に押し出し、それに対立するものとして、神話や魔術を排除することはできないことも、現代の私たちは知っているはずです。科学と魔術は切っても切り離せないとはよく言われることですし、現代の閉塞的は状況を打開すべく、神話や神秘主義の創造的な力によすがを求める人々は後を絶ちません。

ドーキンズの文章の中で大切なのは、「安易な道に逃げ込んではいけない」ということだと思います。対立や衝突だって、共存の契機をはらんでいるはず。断念してはいけないということだと思います。受験生の皆さんも、一度決めた進路を簡単に諦めてはいけません。残すところ半年、Hang in there!