職員室

リレートーク

にちがくの教職員によるリレートーク
~学校生活、そして日常を語り繋ぎます~

2017-12-22

「デジタル地図にハマりつつ思うこと」高橋先生(高1担任・社会・山渓)

デジタル化の波は地理の世界にも及び、地理情報システムはすっかり私たちの生活に浸透しています。初めてグーグルアースを見たときには大変感動して、何時間も世界のあちこちを見てまわったものですが、いまや珍しくもなんともなくなりました。ストリートビューなる機能で、その場所に降り立つこともできますし、地図にしても、地形を立体的に表現したり、鳥瞰図にしてみたり、色分けしたりと、チョロチョロっとパソコンを操作するだけで様々な情報が手に入ります。とても便利で楽しく、これらをいじっていると時が経つのを忘れてしまいます。初めて行くところではGPS機能が役立ちます。今自分がいるところと、行くべき道筋まで親切に教えてくれます。カーナビゲーション搭載の車なんて当たり前でしょう。これらの地理情報システムは私もよく使いますし、これからの地理教育でも、これらのデジタル教材を使ったアクティブラーニングが当たり前になってくるのかな、と思います。

が、アクティブラーニングの本質は、そこではない!と言いたいと思います。GPS機能は、私たちが地図を読んで周りの景色を見て、そして自分が今どこにいるのか、どの方向に向かっているのか、道が正しいのか間違っているのか等々を、深く考えなくてもちゃんと正しいところに導いてくれます。これって、こうした地理的感性や考察力を鈍らせることになりはしないか?と思ってしまうのです。

昔の人たちは、太陽や北極星の位置、植生などから方角を割り出して旅をしたといいます。私たちも、冬山登山などでは、地図だけでなく、「いかに山を見るか」が大事だということは先輩たちから教わり、後進に伝えていきました。最近は、高校生のみならず大学生も、山のことをインターネットで検索しておしまい、ということがよくあります。ネット上で写真もすぐに見られるし、実際に行った人のブログから、その山のルートがどんな様子かも分かります。そしてそれらを見ることで調べた気になってしまうのです。現場でも、目の前にある実際の山ではなく、地図ばかり見てトンチンカンな判断をしてしまう場面があります。そのたびに、「事前に地形図をしっかり見て、地形をちゃんと想像して、要注意箇所をイメージしとけ。現場では山をしっかり見て、山が示してくれる手がかりに気づけよ。そのために自分の感性を鋭くしておかなきゃ」と説教が始まるのです。

便利になればなるほど、調べたい事柄がたやすく手に入るがために、それに頼って深く考えずにその情報を鵜呑みにしたり、分かった気になったりということがないでしょうか。なんだか、便利になればなるほど、受身になっちゃうんじゃないの!?なんて、最近のデジタル教材、アクティブラーニング推進の波の中で思ったりします。デジタルデバイスを使おうと使うまいと、人間の持つ想像力、そして五感をフル活用して学習することがアクティブラーニングでしょう。であるならば普段から想像力を膨らませる学習活動、そしてできる限り実際のものを見ること、現場に行ってその空気感を感じること、これがとても重要なことだと考えます。

「歩く、見る、考える」
大学時代、恩師から教わった地理学研究のモットーです。
現代の便利なツールをどう活用し、五感を活用する学習につなげていくか、「実際にそこに行ってこの目で見てみたい!」と思える地理学習ができるか、日々思案しているところです。